Epilogue

「……この結末も、あなたが描いた通りということか?」

荒れた市街地の外れ、談笑している五人から少し離れた位置にあるマンションの屋上。
テレポータに消えていく五人を見下ろすようにして、人影が二つ――いや、三つ。

無表情で小さく口を開いた青い髪の青年に対して、段差に腰掛けている人物が答える。

「うふふ、まさかそんな。神様じゃないんだから、未来がどうなるかなんて誰にもわからないのよ?」

黒いローブを深く被ったその姿からは、体型やその顔、表情なども窺えない。
ただ、高い声とローブから覗いている長めの金髪などから、女性であることは間違いないようだった。

青い青年が微かに顔を顰める。

「あなたの思惑に興味はないが…… 使い走りに使うのも程々にして頂きたいな」
「ごめんごめん。リンちゃんのサポートありがとね。助かっちゃった!」

ローブに身を包み不気味ですらある佇まいとは対照的に、高く弾むような声だった。

「礼なら彼に言ってくれ。逸早く市街地襲撃の報を掴んだのはそちらだからな」
「い、いえっ、僕はそのっ……」
「ふふっ、ありがとね、おちびさん」
「…………」

二人よりも一際小さな人影が、青い青年の背中におずおずと隠れた。
子供のような体躯だが、獣のような耳や尻尾を生やしており、異質な雰囲気を醸している。
しかしローブの人物を警戒しているのか恐れているのか、言葉に詰まり青年の影に隠れる姿は、やはり子供のような姿と言えた。

「それにしても。あの緑の子に顔見せてこなくて良かったの?なんなら今から混じってきても」
「無用な気を回そうとするのはあなたの悪癖だ。必要ない」
「あらあら」

くすくす、とローブの下で笑う。

「もう良いか?僕達はこれで失礼する。行こう、フウタ」
「あっ、は、はいっ!」

返答も聞かずに、青い青年が踵を返した。それに小さな少年が慌てて続く。
青年がテレポータに消えると、少年は一度だけ振り返って。何か言いたげな表情をしたものの口を開くことはなく、続いて消えていった。

「うふふ……こういうのも新鮮ね」

ローブの人物は恐らく笑っているのであろう顔で見送ると、しばらくして先程五人がテレポータに消えていった辺りに視線を戻す。

「良い顔で笑えるようになったのね。あの子達のおかげかしら?」

腰を下ろしたままに片手の人差し指を突き出すと、その指にテクニック――フォトンの炎が灯る。

しかしその色は赤ではなく、丁度先程の青年の髪の色のような「蒼」。

「"笑顔は女の武器"…… 今度はその武器を扱えるようになるかしらね?」

手を裏返し、てのひらを天に向けると、青い炎は風に吹かれるようにして霧散し消えていく。
依然顔は窺えないが、笑っているのであろう楽しげな様子で立ち上がると、屋上のフェンスに寄りかかった。


「あなたが頑張るのはこれからよ、マリン」


見上げた空は、日が沈みかけ燃えるような赤に包まれて。

屋上には、いつの間にか誰もいなくなっていた。


  • 最終更新:2016-03-20 23:51:31

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